生きる勇気を届けてくれる「抵抗者」の姿――新書時評 2017/10/25 今月は三冊の新刊が刊行された「抵抗者」たちの評伝を取り上げたい。 まず池内紀『闘う文豪とナチス・ドイツ』(中公新書)。ヒトラーを厳しく批判していたトーマス・マンはオランダ、フランスへの講演旅行からの帰国を阻まれる。以後、亡命先の米国を拠点にナチス批判の言論活動を続けた文豪の闘いを本書はマンが残した日記から跡づける。 注目すべきはナチス政権瓦解後もマンの闘いは終わらなかったことだ。戦後ドイツで「