とんかつ特集で思い出す「とんかつ一代」のとんかつ賛歌――平松洋子の「この味」

©下田昌克 とんかつの四文字は黄金色に輝いている。  とんかつ、とんかつ、とんかつ……繰り返していると口のなかが生ツバでいっぱいになってきて、こうなったら、もう気がすまないのがとんかつだ。とんかつに向かって突進すると、よしこい! どすこい! 両手を広げて受け止めてくれる度量の広さ。きつね色に染まったトゲトゲの衣に、ああ抱きしめられたい。  五、六年前、正月早々の三日、阿佐ヶ谷の名画座に映画を観に行

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