村上春樹は、ほんとうに「デタッチメントの作家」だったのか? 一人の批評家が見出した「意外な村上像」
「中国の描き方」から見えること
村上春樹さんの新刊『街とその不確かな壁』が好評をはくしています。もう二度、三度繰り返し読んだという方も、いらっしゃるかもしれません。
ところで、村上さんといえば——とくにその初期の作品を引き合いに出して——「デタッチメントの作家」と評されることがしばしばあります。すなわち、社会的な出来事とは距離を置き、静かで瀟洒な人々の営みをスタイリッシュに描く作家……という評価を