親子の「業」が樹木となり、有刺鉄線を呑み込んでいく――読む人を絡めとる、直木賞候補作。

絞め殺しの樹(小学館) 北海道根室を舞台とした河﨑秋子さんの大河小説『絞め殺しの樹』は、題名から殺人をモチーフとした小説と思う人がいるかも知れない。私もその一人だった。しかし、多くの人の死は綴られるが、殺人そのものが起きるわけではない。 題名に込められている意味は、人が生きていくということは過酷な人間の業のからまりのようなものであり、読者に自分の越し方行く末を見つめさせる迫力を秘めている。すでに多

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