ユングも石原莞爾もニムロッドもオリンピックも。時代の知と共鳴するベストアルバム

『キュー』(上田岳弘 著)  知と欲望とテクノロジーによる飽くなき伸張の果て、ついに人類は世界そのものと一体化して雲散霧消する――。人類の命運を描き続けてきた上田岳弘の芥川賞受賞第一作は、さながら最初のベストアルバムというべき趣である。  物語は三つの時代を交錯させながら進行する。平凡な医師である立花徹を中心とした現代日本、立花徹の祖父・立花茂樹が石原莞爾とともに世界最終戦争を構想する戦中戦後期

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