石倉真帆「そこどけあほが通るさかい」/古市憲寿「百の夜は跳ねて」

第32回三島由紀夫賞は、三国美千子「いかれころ」(「新潮」2018年11月号)に決まった。この作品については初出時に取り上げたので詳しくは触れないが、昭和五十八年(一九八三年)の大阪、河内を舞台に、長年農業を営む旧家の四歳の娘の視点から、家族や親類の悲喜こもごもの挿話が瑞々しい筆致で語られる。この作品は新潮新人賞受賞作、つまりデビュー作である。三島賞を新人賞受賞作が貰ったのは、第24回の今村夏子の

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