「紅皿」と戦争 上別府 保慶

福岡市で「天神ビッグバン」と呼ばれる都心部再開発が進む一画に、かつて「凪洲屋(なぎすや)」という和菓子の店があった。本紙の前身「福岡日日新聞」の速記者だった草村文子さんが、この店に駆け込んだのは、まだ20歳、1937(昭和12)年のことだった。 中国の戦地取材へ出る8歳上の写真部員、比山国雄さんに甘い最中(もなか)を渡したかった。しかし、博多駅での壮行会には間に合わず、草村さんは次の汽車に飛び乗っ

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