人の話を聞かない、嘘をつく、謝らない、見栄を張る……「困った人々」が一線を超えた時 2019/1/13 『昨日がなければ明日もない』(宮部みゆき 著) 杉村三郎シリーズ第五作にして、私立探偵・杉村三郎シリーズ第二作である。 と、いささかややこしい紹介になってしまうのは、『誰か Somebody』『名もなき毒』『ペテロの葬列』という最初の三長編での杉村三郎は、まだ私立探偵ではなかったからだ。誠実で優しい会社員であり夫であり父だった彼が初期三作を通して人生の転機を迎え、第四作となる『希望荘』で〈私