映画は嘘をつくメディアである。優しい嘘で塗り固めた新人監督の社会派コメディ『鈴木家の嘘』

こんなに笑えるシリアスドラマがかつてあっただろうか。いや、近年稀に見るヘビィなコメディと称するべきか。野尻克己監督のデビュー作『鈴木家の嘘』は、“自死”という重たい題材を優しい嘘でふんわりと包み込んだ温かい作品だ。嘘を重ねることで、崩壊していた一家が少しずつ再生していく姿を描いた倒錯的な物語に魅了される。  1974年生まれの野尻監督は、これまでに『まほろ駅前多田便利軒』(11)の大森立嗣監督、『

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