古市憲寿「平成くん、さようなら」/鴻池留衣「ジャップ・ン・ロール・ヒーロー」/青来有一「フェイクコメディ」

今月は「今」をテーマにした中編が三つも並んだ。今の世界、今の社会、今の時代、今の日本。 古市憲寿「平成くん、さようなら」(「文學界」9月号)は、同誌4月号の「彼は本当は優しい」に続く、人気社会学者の二つ目の小説である。「平成くん」は語り手の女性の彼氏のファーストネームで、「ひとなり」と読む。彼は1989年1月8日、すなわち「平成」の始まりとともに生まれ、大学の卒論が2011年3月11日の東日本大震

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