〈書評〉物語にとって“抜群”の手法 文・三橋 曉

ミステリの特徴をひと口でいうなら、謎とその合理的な解決だろう。しかしこれは勿論、このジャンル小説の専売特許ではない。ルーツは聖書とも紀元前の史書とも言われ、大袈裟にいうなら人類の歴史と寄り添ってきたこの手法は、小説に限らず、あらゆる物語にとって抜群の相性といえるだろう。今回は、その好例から。 中村文則の『私の消滅』は、謎めいたメッセージから始まる。“この手記を読むと、人生の全てを失うかもしれない”

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