いとうせいこうが「こんなおかしな小説はありはしません。信じて下さい」 と紹介。『小説禁止令に賛同する』とは?
『小説禁止令に賛同する』(いとうせいこう/集英社)
『小説禁止令に賛同する』
まずは、この奇妙なタイトルの「物語」の舞台設定から紹介したい。
時は近未来、語り手は、東端列島と呼ばれる国の■■地区第三集合棟独房に収監されている40代前半の男(囚人番号八十六号)。かつて東端列島に存在した大手出版社から「随筆家」として賞を得たこともある作家である。
「物語」は独房にいる男の一人語りで進む。男の独白に