奇術のようなトリックをノンストップの恐怖の物語に 『人形はなぜ殺される』 (高木彬光 著)
光文社文庫 880円+税
“人形はなぜ殺される?”
どこか禍々しくも挑戦的な問い――これを読者に叩きつけてはじまるのが、日本の本格ミステリーの名手・高木彬光の傑作『人形はなぜ殺される』である。不吉さとキャッチーさの入り混じるこの一言は、ミステリー史上屈指の名タイトルだと思う。
テーマはずばり「魔術/奇術(マジック)」。奇術師が経営する喫茶店で幕を開け、ギロチンを使ったマジックに、奇術発表会の楽