16歳の少女が「天皇の戦争責任」に挑む――平松洋子が20歳の自分に読ませたい「わたしのベスト3」

平松洋子/エッセイスト ©文藝春秋  読み逃していた、二十歳の頃に出会っていたら、と臍を噛む一冊が『椿の海の記』だ。四歳の女の子「みっちん」の記憶に刻まれた叙情世界を描く小説は、原初の感覚に貫かれ、エロスに満ち満ちている。「椿」はすなわち、水俣病によって失われた郷土であり、魂の原風景。森羅万象とのいのちの交歓が濃密に描かれるのだが、と同時に綴られるのは生きることの悲哀や残酷さである。石牟礼道子

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