無名の人々の、決してドラマチックではない営みを描いた良作―映画「いつまた、君と~何日君再来~」
(文=相田冬二/『キネマ旬報 2017年12月上旬特別号』より転載)
向井理の祖母の手記を映画化、そして自ら祖父を演じる
学生時代に向井理が祖母の手記をパソコンで書き起こし自費出版したものが映画の原作。しかも祖父を向井が自ら演じるとなれば、どこか閉じた映画を想像するかもしれない。身内を身内が体現する作品には、どこか立ち入れない歯がゆさを感じることも少なくないからだ。
だが、この映画には近親者が近親