父に見えた男、実は娘を拉致しようとしていた

イラスト/フォトライブラリー 『江戸の性事情』(ベスト新書)が好評を博す、永井義男氏による寄稿。  元禄3年(1690)、湯島聖堂(昌平坂学問所)の建設が始まったころのことである。   聖堂の普請にかかわる本郷の仕事師五、六人が連れ立って歩いていると、緋縮緬の大振袖をだらしなく着た17、8歳くらいの娘が、薄よごれた木綿の着物を着た50歳くらいの父親に手を引かれて歩いているのに出くわした。  娘

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