親殺しか、妾殺しかーー江戸の噂 2017/8/28 イラスト/フォトライブラリー 『江戸の性事情』(ベスト新書)が好評を博す、永井義男氏による寄稿。 下谷六軒町に裕福な後家が住んでいた。 後家は四十歳くらいだったが、死んだ亭主が残した土地や建物が各所にあるため、地代や家賃収入で悠々自適の生活だった。 後家には徳三郎という二十四、五歳の息子がいたが、養子だった。 近所では、親子仲が悪いので有名だった。 後家はけちで、収入はひとりじめして、