あり得ざる秘史を幻視させる伝奇的想像力 『安徳天皇漂海記』 (宇月原晴明 著)

中公文庫 686円+税  才能豊かな歌人、そして若くして暗殺された悲劇の将軍として名を残す源実朝。だが鎌倉幕府の公式記録『吾妻鏡』に記された彼の日常が、夢のお告げや怪奇現象などが頻発するオカルティックなものであったことはどのくらい知られているだろう。時代伝奇作家・宇月原晴明の代表作『安徳天皇漂海記』の第一部は、この実朝の身に降りかかる怪異を側近の視点から描いている。  二十六年前、八歳の安徳天皇は

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