滝口悠生「高架線」/関口涼子「声は現れる」

滝口悠生の書き下ろし長編「高架線」(「群像」3月号)が、とてもこの作家らしい飄々(ひょうひょう)とした佇(たたず)まいの好作だった。西武池袋線の東長崎駅から歩いて5分ほどの場所にかつて存在した「かたばみ荘」の住人たち、およびその周りの人物たちによる、一種の群像劇である。 「かたばみ荘」は老朽化の甚だしい木造2階建てのアパートで、各階に2部屋ずつ、計4部屋しかない。大家の方針(?)によって、不動産屋

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