はかなき女性を表した『源氏物語』の夕顔。歌人 馬場あき子【和歌で読み解く日本のこころ】 2023/8/22 夕顔 心あてにそれかとぞ見る白露の光そへたる夕顔の花 『源氏物語』 「夕顔」女 寄りてこそそれかとも見めたそかれにほのぼの見つる花の夕顔 源氏 夕顔は源氏物語の夕顔の巻によって一挙に文学の花となった。紫式部の眼のつけどころの新鮮さに貴族たちは感動し、その庭園にかつて植えたこともない夕顔の白い花に改めて詩心を昂(たかぶ)らせるようになる。 夕顔は本来貧しい民の垣根に咲いた花で、貴族たちは一生眼にする