作家を作った言葉〔第20回〕上村裕香

大学2年生の夏の話だ。わたしは芸術大学の文芸表現学科という、小説創作や書籍編集を学ぶ学科に通っていて、新人賞に応募する小説をモリモリ書いていた。  モリモリ書いては小説創作の授業を担当する編集者に「山頂まで辿り着けずに二合目で力尽きたって感じ」と切り捨てられ、モリモリ「文章は上手いけどそれだけ」モリモリ「散漫な物語だね」モチモチ「視野が狭い」を繰り返していた。彼はライトノベルへの造詣が深い人で、一

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