渡瀬恒彦演じるチンピラの最期は中島貞夫流「燻りの美学」の極み!――春日太一の木曜邦画劇場

1973年(97分)/東映/4950円(税込)  先月お亡くなりになった中島貞夫監督の作品の魅力は「燻り」にある。炸裂し切れずに燻る情念。一見するとギラギラと熱くも、最終的にはその闘いには空しさが去来する。そんな物語を描き続けた。  そして、中島ワールドを最も体現した役者が渡瀬恒彦だ。怒りや苛立ちを抱えながら、そのエネルギーをぶつける先がない。中島作品で渡瀬はそうした役を演じ続け、また燻ぶった芝

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

CLOSE
CLOSE