【書評】『サーカスの子』「非日常」が連続する「日常」という不思議な空間 2023/7/4 『サーカスの子』/稲泉連・著 【書評】『サーカスの子』/稲泉連・著/講談社/2090円 【評者】関川夏央(作家) 著者・稲泉連は一九八〇年代、四歳から五歳にかけての一年間、サーカス団にいた。芸をしていたのではない。三十歳を過ぎて息子・連を生んだ母親(のちの作家・久田恵)は三十五歳で離婚、一人親となった。アルバイト暮らしと保育園になじまない息子に疲れた母親は、息子を育てるためにサーカスの住み込み炊