[映画評]荻上直子監督「波紋」…アンダーコントロールではない現実を生きる女の目覚め 2023/5/26 表面上はアンダーコントロール。でも、実は全然そうじゃない。本作は、そんな女の物語であり、私たちが生きる世界の物語。どうして毎日息苦しいのか。どうすれば解放されるのか。おかしさとスリルが同居する人間模様を通して、観客の心の経穴(ツボ)を押してくる。痛いけれど、なんだかすっとするような――。「かもめ食堂」で広く知られる荻上直子監督(脚本も)による新しい快作だ。(編集委員 恩田泰子) 主人公・依子(