【「せかいのおきく」評論】凜とした映像で江戸庶民の悲喜交々を描く、阪本順治の “活劇”

観終わって最も印象に残ったのは、笠松則通の撮影が生み出す映像の力だった。輪郭が立ちながらも柔らかさが損なわれていない。凛とした映像が音を際立たせ、画面に吸い込まれるような感覚に包まれる。阪本順治監督は、スタンダードの画角、モノクロームの映像に最小限の色味を添えると決め、独特な佇まいが宿る作品に仕上げた。自ら脚本を書き、声を失ってしまうヒロインを描くサイレント映画の語り口が新鮮だ。  「せかいのおき

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