“見果てぬ夢”の魂を込めた姿であった。 演劇ジャーナリスト・大島幸久が観た『ラ・マンチャの男』
松本白鸚の心意気を見た思いだった。
26歳の時から挑み続け80歳の今もなお傑作ミュージカルのドン・キホーテを演じる舞台に立った。その初日。主題である“見果てぬ夢”の魂を込めた姿であった。
歌舞伎俳優白鸚の真骨頂の究極の演技でもあった。それは一体となった心・技・体にある。ファイナル公演と銘打たれ、歌舞伎で言う一世一代、役収めに当たる。演出を兼ねた白鸚は装置・美術を大胆に変更し、それに伴った演