『光のとこにいてね』一穂ミチ/著▷「2023年本屋大賞」ノミネート作を担当編集者が全力PR
武勇伝はなにもない
「作品の裏話を」という「小説丸」編集部からのお題を前に、何日も書きあぐねています。
いえ、編集部が期待していることは分かるのです。編集者が作家と出会い、原稿を依頼し、本が出来るまでには種々のドラマがあるはずだ、と。分かってはいるのですが、できずにいます。なぜなら、私にそんなドラマは一つもなかったからです。
私が本作を担当することになった理由はシンプルで、前任者の異動でした