生まれた時から死ぬ間際まで真っ直ぐに、真っ当に ‐『風よ あらしよ』村山由佳|本の山

伊藤野枝、という存在をどのくらいの人が知っているだろうか。三十代のはじめごろ、高知県の海に遊びにいった時、知り合った夫婦に小さな女の子がいて、その子の名前が「野枝」だった。一緒にいた友人が「もしかして、伊藤野枝からとった?」と問うと、まさにその通りだった。私はめずらしい名前だなと思ったくらいで、素通りしてから約十年経った今、野枝の存在が好きで娘にその名前をつけたと言っていた母親に、驚愕の思いを抱か

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