小説をめぐる、破格のデビュー作――杉江松恋の新鋭作家ハンティング『標本作家』

小川楽喜『標本作家』書評 書評家・杉江松恋が新鋭作家の注目作をピックアップ。 今回は、ハヤカワSFコンテスト受賞作。  なんと小説はその創造主である人間よりもはるかに長く生き延びたか。  小川楽喜『標本作家』(早川書房)は壮大な物語である。舞台となるのが西暦八〇万二七〇〇年、すでに人類は滅亡し〈玲伎種〉なる高等知的生命体の管理下に置かれている地球、という遥かな遠さ。しかしそこで題材とされるの

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

CLOSE
CLOSE