鵠沼藤が谷在住 川崎典子さん(94) 目の前の死にも無感情に 「戦争は人間性を奪う」〈藤沢市〉
「また来た」。汽車の窓から火花が散るのが見えた。石炭をくべる明かりを目印に、米軍機からの機銃掃射が降り注ぐ。怖くて仕方ない。でも逃げる場所もなく、怯えながらただ耐えるしかなかった。東京駅を発車したのが深夜2時過ぎ。車内は真っ暗なのに、時折手元の新聞の文字が読めるほど外は明るい。1945年3月10日、東京大空襲があって間もなくの出来事だった。受験のために上京し、親族を頼って藤沢に滞在。帰京の列車は決