お姫さまの搔巻 ― クリスマスに読む、冬の服のはなし ―

子どもの頃から冬になると布団が搔かい巻まきになる家だった。日本の家庭はすべてそういうものだと思って育った。首まわりをしっかり寒さから防護してくれる搔巻は、立て付けが悪くてうすら寒い社宅ではなんとも頼もしく、時々、横着して搔巻に腕を通したままノロノロと布団から出て歩き回ったりすると、行儀が悪いとひどく親から怒られた。自分にとって搔巻は布団ではなく「冬の服」だった。社会人になってから、冬の寒い日に自宅

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