私が今日も夢を見られるのは、あの子が彼氏を作らないから 2021/8/18 中学一年生の、夏休みを目前に控えた放課後のことだった。私の通っていた中学校は山の中にあり、昇降口を出るとすぐに木々に囲まれた。そのせいで蝉の声がうるさく、それが自分に向けられた言葉だと気づくのに少し時間がかかった。 「テストで2番取ったんだってね。すごいね」振り返ると、下駄箱の前に知らない女の子が立っていた。けれど、私はその顔を見てすぐ、その子の正体を知った。「ありがとう」私の声は、からからに乾い