ある病院の壮絶な葛藤 コロナウイルスより手ごわいのは、人間の「負の感情」

『臨床の砦』(夏川草介 著)小学館  コロナ禍の医療現場、家族に看取られない死、そして医療従事者たちの壮絶な葛藤を描いた小説である。フィクションとはいえ、「感染者数」という客観的数字にしか晒されてこなかった人間には想像することさえかなわないコロナ感染の現実が綴られている。しかも、感染者数が過去最多を更新し続けていた二〇二一年一月を彷彿とさせる危機的状況が詳述される。それもそのはず、著者は地域医療

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