【「1秒先の彼女」評論】時間と記憶をめぐる恋愛物の要素を継承しつつ、ジャンルを鮮やかに更新するポップな好作
世の常識やテンポに合わせられず、どこかずれてしまうアウトサイダー。そんな人々を描いてきたのが、“台湾ニューシネマの異端児”チェン・ユーシュン監督だ。誘拐された少年と犯人やその家族との奇妙な交流の日々を綴るデビュー作「熱帯魚」(95)しかり。都会に暮らす若者たちの不器用な恋や生き様を描く「ラブゴーゴー」(97)しかり。これら2作はまた、2000年代のジャン=ピエール・ジュネ監督作「アメリ」やミシェル