相田冬二の『いたくても いたくても』評:通販、プロレス、恋愛……3つの本気が溶け合う“旨い”映画
これは日本に限らず世界的な傾向なのだが、キャリアの浅い監督たちに野心というものが決定的に欠けている。どうやら、あらかじめ周到に用意された作劇を、よどみなく遂行することこそが映画だと思いこんでいる節がある。また、これは観客側の問題でもあるが、そのような予定調和の下に完成している作品から、容易に感動ポイントを共有し、よろこんでしまう。別段、双方が媚びを贈りあっている様子はなく、ビジネスとしてではなく