互いを監視し“普通”からの逸脱が許されない社会…じわっと胸に巣食う物語 2021/2/24 『ミルクマン』(アンナ・バーンズ 著/栩木玲子 訳)河出書房新社 『ミルクマン』は、十八歳の主人公が、謎の男「ミルクマン」に二カ月の間付き纏われる物語であるが、私たちが目撃するのは、この出来事を触媒として明るみに出る、コミュニティの異常性と、人というものの複雑さである。 「こっちの宗教」「反体制派」として語られる主人公が暮らすコミュニティは「あっちの宗教」「体制派」と緊張状態にあり、「警察」「国