【ビブリオエッセー】戦国の世をともに生きる 「真田太平記」池波正太郎(新潮文庫)

愛馬、月影の首を幸村は抱きしめたまま身じろぎもしなかった。愛馬は細い声で嘶き、息絶えた。大坂夏の陣のクライマックスだ。幸村が「冥土で会おうぞ」と馬上から声をかけた家来の向井佐平次もすでにいない。その亡骸に寄り添い、赤備えの幸村は死出の旅に立ち上がる。佐平次は佐助の父であり、幸村の忠臣だった。文庫版全12巻の11巻は幸村の死で終わる。  幸村らの奮戦により真田家の武名は天下に知られ、後世に語り継がれ

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

CLOSE
CLOSE