【「悪の偶像」評論】繊細なサスペンス、血生臭い殺気に息をのむ、人間たちの罪と罰の物語

異様な映画を観てしまった──。他国の追随を許さない快作、異色作がひしめく韓国のノワールものを評するときには、しばしばこのような書き出しを使いたい誘惑に駆られるのだが、「悪の偶像」は掛け値なしに異様なクライム・スリラーであり、実におどろおどろしいヒューマン・ドラマでもある。  ある夜、知的障害者の若い男性プナンが車でひかれる事件が起こる。加害者の父であるエリート市議会議員ミョンフェは、政治家としての

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