ユーモアと皮肉と醜さのスパイスを効かせた人間喜劇―演劇ジャーナリスト・大島幸久が観た『冬のライオン』
国王ヘンリー二世と妻エレノアが軽い笑みを浮かべて腕を組みながら舞台奥へとゆっくり歩みを進めていく最後の場面は、やっぱりと納得はしたもののふたりの愛情の不可解さを思わずにはいられなかった。森新太郎が演出した『冬のライオン』。ユーモアと皮肉と醜さのスパイスを効かせた人間喜劇を見せつけた。
物語の縦糸は“冬のライオン”であるイングランド国王の跡目問題である。息子3人の中から誰を選ぼうか。権力者や富裕