私たちを魅了する〝京の異界〟に潜む、京都を京都たらしめるカラクリ 2019/9/29 花かんざしは贅沢に 京都祇園、八坂神社の近くに「花かんざし」の店があった。いや、今もある。金竹堂と言う。その店先で主の定永芳子さんと話をしていると、舞妓さんがやって来た。 「おばちゃん、これ修理してもらえます」。 芳子さんは、舞妓さんの差し出した花かんざしを手に取って、「もう買い替えたらどうや」と言う。 「へえ」。 舞妓さんは、頭を下げて、花かんざしを芳子さんの掌の上に置いたまま店を出てゆく。